Propellerhead の The Producers Conference Tokyo に行ってきました

6/16 にアップルジャパンで行われた The Producers Conference Tokyo に行ってきました。


このイベントは、音楽制作のためのソフトウェア「Reason」を使用したデモンストレーションをメインとし、音楽用ソフトウェアの紹介や、参加プロデューサーの音楽関係の現場の話が聞けるというものです。Reason の使い方なども面白かったのですが、有馬知章さんセミナーII:「Reasonで作ったサウンドが着信音になるまで」と安西史孝さんセミナーIIIa:「iTunes Storeで世界デビューする方法」がとても興味深かったので、自分のメモも兼ねてここに書き残します。着信音も曲も簡単に配信できるんだから気軽にやってみようよというチープ革命的な話です。

セミナーII:「Reasonで作ったサウンドが着信音になるまで」

「普通だったらマナーモードにして下さいというところですが、もしかしたら私の関わっている着信音があるかもしれないので、じゃんじゃん鳴らして下さい。」

着うたとは?
  • ソニーの商標
  • 着うたと着うたフルに分類される
着うたフルについて
  • 着信音というよりも音楽配信
  • CD の売上げを上回っている
  • CD そのまんまの音
  • ほとんどが JPop
  • 着うたサイトは、直営サイトとカバーサイト、インディーズサイトに分類される
    • 直営サイトというのは、タワーレコードTSUTAYA など
    • 直営サイトの 80 〜 90 % がインディーズサイト
    • 原盤の問題で JPop には手を出しにくい
  • 音楽ビジネスの延長線上にある


ここで原盤に関する詳しい話があったが、細かい数字や構造の記憶があいまいなので省略します。とにかく、JPop の原盤を借りて着うたを作るのは割に合わないとのことでした。


そこで、

  • インディーズの曲を扱う
  • Starbucks Coffee や Franc franc が選曲で CD を売ってるように、「こだわり」ある選曲で着うたを作る
着うたについて
  • 45 秒
  • バッハをテクノにしたり、効果音を作ったりなどとして、自分が原盤となる
POOLについて
  • POOL とは、有馬知章さんがやっている着うたサイト(http://pc.poolmusic.jp/)
  • メキシコのアーティストと契約
  • あまりにもアクセス数が少ないと、JPop もやろうたという話が挙がる
    • それでは、「こだわり」でなくてただの店になってしまう
    • タワレコの衰退の原因の一つはこれ
  • 国内のアーティストで原盤を自分で持っている人たちから原盤を預かって作ったりもしている
POOL / 感性の着信音
  • POOL では、完成の着信音という試みをしている(http://pc.poolmusic.jp/pool_delicacy.html)
  • 着信音とは何かを知らせる音である(例:電子レンジ、駅のホームの音)
  • 完了の音であり、警告の音でもある
  • 今まで電話の音をわざわざ 100 円払ってまで変えようとする人はいなかった(ミネラルウォーターも。以前はわざわざお金を払って水を買おうとする人はいなかった)
  • 会議、レストランで鳴っても迷惑にならず、自分だけが気づくような着信音(ドワンゴのくしゃみ等とは別の意味で)
  • もう一度聞きたくなる着信音
  • 場所や時間によって、使い分けれるようになるとおもしろい
    • ビジネス的にたくさん買ってもらえるというのもあるが
  • どのように作る?
    • 45 秒をフルに使う
    • サイン波が多い
    • キースジャレット、ドビュッシー、又はトランスのようなイメージ
  • 着メロ、着うたは登録されてたが、まだ登録されてなかったので、「着おと」を商標登録した。
ユニバーサル・サウンド・デザインと工業デザインについての提案
  • ユニバーサル・サウンド・デザイン
    • 着信音を携帯だけでなく、 IT 家電や車にも使いたい
    • 音を記号化し、世界共通にしたい(例:右と左、横断歩道の音、エレベーターの階の音)
  • 工業デザイン
    • 音楽というと高尚なものと考えられやすい
    • ロゴやポスターには工業デザインがあるが、音楽にはない
    • 携帯の着信音は 400 万台に出荷できる
    • 自分で配信することも難しくない

セミナーIIIa:「iTunes Storeで世界デビューする方法」

  • iTunes Store (iTS) で曲を売るためには業者を通す
    • イギリスでは 1 つ、日本にもいくつかあるらしいが、アメリカの CD Baby を利用している
mp3.com について
  • 聴かれた回数に応じて印税がもらえる
  • 一期(半年?)で 180 万円貰ってるいた人がいたらしい
  • JASRAC は年に 1000 億円の分配を行っている
    • 一期(年?半年?)で 100 万円以上もらっているのは 500 人くらいらしい(普通の作曲家)
    • 一期(年?半年?)で 500 万円以上もらっているのは 100 人くらいらしい
    • なので、mp3.com で一番貰っていた人は、普通の作曲家に近い額をもらっているといえる
CD Baby について
  • 社長がマメでやり手らしい
  • 価格は自由に設定できる
    • 価格の何 % ではなく、一枚○ $ と決まっている
  • 登録料がとられる
  • 初期の段階で iTS (当時は iTMS) と提携していた
  • iTMS への登録の際には、AAC 変換料もとられる
  • 毎月レポートが送られてくる
  • 40 社以上の音楽配信サービスから配信されるが、売上げのほとんどは iTS から
    • Napster はストリームなので、一度聴かれたら数円であり、月 8 円とかそのくらい(数百回聴かれるような曲ならいいが、マニアックな曲は厳しい)
  • garageband.com で上位に入った時などは、CD Baby で結構売れた
    • プロモーションさえすれば売れる
    • 人の耳に付くようにすれば買う人はいる(YouTube, MySpace など)
    • Yahoo! は有名だが、音楽配信はあまり有名でないので、買う人は少ない
  • Apple の掛け率はいい(80 %くらい)
    • 150 円で売ったら 110 円くらい
    • CD Baby が間に入るので、70 〜 71.2 % もらえる
  • タワレコなどの大型レコード店は直接卸さないので、間の業者が必要となる
    • 売れても 50 % ももらえない
    • 置かれる保証もない
    • 売れているミュージシャンなら間を通した方がいい(どこで何枚足りないから何枚発注、なんてことをしてられないので)
  • 契約には専属(exclusive)か専属でないかという形式があるが、CD Baby は専属契約(専属というのは、そこと契約したら他で売れないということ)
    • しかし、CD Baby と契約すれば 40 社以上から配信されるので問題ないのではないか
  • 日本版 CD Baby もある
  • つぶれたら契約金が帰ってこないというリスクもある
  • 支払いは振込だが、PayPal に振り込んでもらうことも可能
    • CD Baby で儲けて eBay で買うというネット生活もできるかも
  • iTS の曲説明は英語になる
    • 日本の業者を通せば日本語になるが、それだと日本以外で売れなくなる

それから

Twitter Friend の takerui さんと会って少し話しました。